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YESかNOか半分か

元ニートが、再びニートになって何かいろいろ書いてます

YESかNOか半分か

ポストに不思議なテープが投函されていたのだけれど…

日常 考える

http://www.flickr.com/photos/97449311@N00/143040265
photo by Status Frustration


昨日の出来事。

夕飯を作ろうと台所に立った私に、母が不安そうというか何ともいえない顔をして私を見てきた。

「ちょっと、こんなものがポストに入ってたんだけど…」

そう言って母が私に差し出してきたのは、一通の封筒。少し膨らんでいて、中に何かしら厚みのあるモノが入っているのが分かる。

「なんだか怖くて、開けれないんだけど、多分カセットテープなのよね、それ。」

封筒には宛名もなければ、差出人も記載されていなかった。
蛍光灯に向けて封筒を透かしてみると、確かにカセットテープらしきものが透けて見えた。

「爆弾かもしれない!って思うと、怖くて開けれなくて…」

実際に爆弾だったら、家の中に持って入った時点で爆破してるでしょ。と言いながら私は封筒をビリビリと開けてみた。


中にあったのは、新品のカセットテープ一本、のみ。
手紙の1つも入っていなかった。

父の不倫相手からのブラックメール的なものなのだろうか…?
2ちゃんねるの既婚者スレまとめを日頃愛読しているせいか、そんな考えが真っ先に思いついてしまう。
ちなみに私の父が今までに不倫していたという事実も証拠もないので、完全に私の憶測。

もし父が不倫していたら…そう思うと心臓が今までに無いくらいバクバクと脈打って、このテープを聞いた後に母の泣き叫ぶ姿を想像した。
私たち一家の終焉。昨今流行りの熟年離婚か。行くあての無い妄想が次々と膨らんでゆく。

「…とりあえずこのテープを聴けって事なのかしら?」

無機質に封筒に納められていたテープを見つめながら母が言った。

「折角だから聞いてみる?」

そういうと母はキッチンにあるCD/MD/MP3/カセットコンポにテープをセットして、再生ボタンを押した。あんなに「爆弾かもしれない!」と騒ぎ立てていたわりにはノリノリである

カチャッと音がして、テープの再生が始まった。

コンポから流れてきたのは、女性が父の不倫について甲高い声で暴露を始めた―のではなくて、ギターの音色だった。
耳に入ってきたギターの音に、私は少し拍子抜けしつつ、安堵した。
―父の不倫相手からのテープじゃなかったんだ…。


ギターの演奏から少しして、か細い声が聞こえてきた。男の人の声。ギターの曲に合わせて、歌を歌っている。
けれど、あまりにも声が小さすぎるせいで、ギターの音に負けてしまっていた。歌詞が全く拾えない。


ギターの音と、男性の声が止んだ。テープに録音されていたのは、その一曲のみ。決して下手ではないギターの演奏と、ほとんど聞こえない歌詞で奏でられていた曲。

「…なんなんだろうね、これ…」

何故このカセットテープが自宅のポストに入っていたのかが、わからなかった。
もう一度何か手掛かりは無いのかと、カセットテープが入っていたケースを見てみた。すると、ケースの背中の部分に「○○の曲」と書かれていた。その○○の部分に入るのは、おそらく女性の名前なのだけれど、我が家にはそんな名前の女性はいない。

もう1つ発見したものがあって、それはカセットテープでシールが入っている部分に隠れていた。
とある、一枚の名刺。この曲を演奏し歌っていたであろう男性と思われる人物の名前、住所、電話番号、メールアドレスがその名刺には記載されていて、彼の名前の上には"MUSICIAN"と印刷されていた。
全く身に覚えもない名前のこの人物。


さらに驚くべきことには、そこに記載されていた住所は私の自宅から非常に近かった。ご近所付き合いは無い距離ながらも、ほとんど目と鼻の先ほどの距離しかない。
その事実に母は戦々恐々とし始めて「気持ち悪いからテープを捨ててしまおう」と言ったのだけれども、私は、というと何とも言えない気持ちになった。

彼はストリートミュージシャンで、地道な音楽活動を続けている青年だと仮定する。自分の歌をもっと聞いてもらいたくなって、まずは手始めに、と近所のポストに自分の曲を録音したテープを投函してみようと考えた。
しかし、彼はとても内気で、自分の名刺を添えるだけで精一杯だった…―
そんな具合に、自分なりにストーリー(妄想)を組み立ててみると、この青年(と思っている)のテープを捨ててしまうのは彼に対して可哀相なことをしているのではないかと思い始めた。

私の家族(主に母と妹)は「捨てよう!」と言ったのだけれど、彼がどんな思いでこのテープに歌を吹き込んでポストに投函したのかを想像すると、とても居た堪れない気持ちになってしまった。
大半の人は、私の母や妹と同じく「テープを捨てよう!」と思うのかもしれないし、そもそも、こんなことが日常的に起こるような地域でもないので、一時は戸惑いましたが、彼のテープは今も我が家のダイニングのカウンターの上に置かれています。

万が一、次回新作が投函された場合は、手紙なんかが添えてあると少しは受け取る側の反応なんかも違ってくるのではないかなーと思うのですが…どうなんでしょうかね。
家凸や、直接電話はする気にはなれませんが、メールアドレスに感想というか、励ましのメールを送った方がいいのかな(勿論、こちらの素性は明かしませんが)とモヤモヤする今日この頃。

歌はともかく、彼のギターはなかなか耳に残りましたよ。



SOUNDLOOK ダブルラジカセ SAD-1230/S

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